気候危機をはじめ“自己肯定感”などについて、世界中で講演活動を行っている谷口たかひささんが、自分と向き合うことをテーマとした本を書かれました。その中からいくつかの文章を紹介します。
Q1 世界で最も過酷な仕事は?
「世界で最も過酷な仕事」と題したアメリカの動画があります。架空の求人を行い、実際に面接している様子を映しています。その求人は簡単ではないけど、とても重要な仕事。役職は「現場監督」。基本的に立ち仕事で、時には屈みっぱなし。勤務時間は基本的に週7日、24時間勤務。休憩時間はなし。休暇もなし。この職務には非常に高い交渉力と、コミュニケーションスキルが必要。さらに必要なのは、医学・財務管理・調理の高い能力。そしてこの役職には給与がない。
「違法じゃないの?」「悪い冗談だ」「ヒドすぎる」「非人道的だ」
面接官が説明するその仕事のあまりにも過酷な条件に、求職者たちは、次々にそういった言葉を口にします。しかし面接官によると、この仕事に従事している人が今もいるとのこと。それも何十億人も。
さて、この仕事は何でしょうか? 答えは「お母さん」。
この答えに、面接を受けていた人たちは驚嘆しながらも納得し、次々にお母さんへの感謝の言葉を口にしながら泣き崩れました。何度見ても、自分のお母さんの背中が頭に浮かんでは、涙があふれてきます。
この動画は、世界中で瞬く間に反響を呼びました。家事を分担することがあたりまえになっていると言われている欧米でもそれだけの反響を呼んだということは、日本のお母さんたちの仕事量は、さらに想像を絶するものかもしれない。
「職業に貴賎はない」ということは大前提の上で、それでも僕は、子どもを産んで育てることより尊い仕事はないと思っています。お母さんたちの自由と権利を守りたい。本気でそう思います。
<ノミはなぜ跳べなくなったのか>
「ノミの話」というものがあります。ノミは地球上で最も高く跳べる生き物(体長比)。だけど、コップに閉じ込めてフタを閉めると、フタで頭をぶつけてしまう。問題は、その後、フタを取ってコップから出ても、そのコップに入る前とは違い、フタを閉められていた高さまでしか跳ばなくなる。
①あーしなさい!こーしなさい!(コップ) ②あれはダメ!これはダメ!(フタ)
この2つで縛り続けられた結果、起きる「義務脳」がまさに跳べなくなってしまった状態。自分の感情にも可能性にも見えないフタをして生きるようになります。
あなたが「できるわけがない」「やってはいけない」と決めつけてしまう理由は、そういった呪いの言葉や嘲笑によって、フタをされてきたからかもしれない。「義務」だけを教わり続け、「自由」と「権利」について教わってこなかったからかもしれない。よいニュースとしては、この「ノミの話」には続きがあります。
フタを閉められた高さまでしか跳ばなくなったノミでも、のびのびと跳んでいるノミと一緒にいるようになれば、「あれでいいんだ」と、また自分自身も再び美跳ぶようになる。
もしもあなたが、自分は跳べないと感じていて、それでも跳びたいと思っているなら、のびのびと跳んでいる人を見つけて、その人と時間を過ごすようにしましょう。そこで大切なのは、嫉妬ではなく、尊敬の気持ちを持って。嫉妬は相手を自分の低さに下げ、尊敬は自分を相手の高さに上げようとすることですから。反対に呪いの言葉をかけてきたり、あなたの夢を笑ったり、その人都合の義務を押し付けてくる人からは、距離を置くようにしましょう。
自分を信じて挑戦し続けている人と時間を過ごすようにしましょう。そして、あなただけでもあなたのことを信じてあげましょう。あなたができない唯一の理由は、あなたができないと決めつけていることなのだから。
アメリカのメジャーリーグでプレイする日本人、大谷翔平選手。投手としても打者としても大活躍するという、マンガでしかありえなかったようなことを体現している人。その大谷翔平選手の高校時代からの「座右の銘」は-
“先入観は可能を不可能にする”
(『自分に嫌われない生き方』KADOKAWA 刊
第1章自己肯定感~あなたには「自由」と「権利」がある~より引用しました)