2022年04月21日

本堂に座って 2022年4月

本堂に座って 2022年4月

この春、長男の大学進学が決まり、一人暮らしをすることになりました。
慌ただしく準備をし、4月早々から講義が始まるなど、受験で疲れた身体を癒す間もなく新生活が始まりそうです。
大学でも目標を持って学ぼうとしている長男をはじめ、新生活を始めるみなさんに、慣れない中でも日々の生活に気をつけて過ごしてほしいと思い、真城先生のお話を紹介します。

バランスのいい生活から ~心身が安定すると学びが活性化する~

教育というと、どうしても知的な面(学力)にばかり関心が向きますが、実は知的能力だけを独立して伸ばそうとしても、うまくいきません。
よく知育・徳育・体育と言われますが、頭脳とこころとは互いに深く関わり合っていて、別々ではありません。
そのバランスが大切です。
仏教では戒学・定学・慧学の三学が言われます。
学は繰り返すことで身に付くという意味です。
まず「戒」は良い生活習慣という意味で、生活のリズムが整うと心身のバランスがとれて安定します。姿勢と呼吸が大切です。
「定」は心身を静かにして思いが乱れないように精神を集中します。
「慧」は、その静かになった心で正しく真実のありさまをみきわめるのです。
つまり、身体のリズムとバランスが整うと心がよく落ち着いて、そこで智慧が発揮されるということです。
私たちの身体は、一生物としての生理リズムを持ち、日中と夜間とでは神経系が代わり、代謝や様々な機能・反応も変化します。
身体が完成するまでは、夜中を過ぎて寝て翌日の昼近くに起きるようなことは決してよくありません。
睡眠や食事の片寄りは、心身に重大なストレスを与えています。
知らぬ間にイライラしたり、集中できなかったり、続かなかったり、我慢ができなくなります。
心身のバランスがよくとれて、必要十分な深い眠りが大切です。
身体が未発達の状態での睡眠不足は、発育不全や重大な後遺障害の心配もあります。
心身の安定とは、足場や支点など動くべきでないところが、しっかりと揺るぎないことで、それによって動くべき部分に力が発揮され、存分に自由自在に動けます。
短距離走のスタート地点が砂場だったとしたらと想像して下さい。
あるいは生活の動きを少し止めて、心のためのひとときを持つ。
自らを振り返り見つめる時間を、わずかでいいから生活の中に確保する。
望遠鏡の脚が振動すると、遠くを正しく見ることはできません。いい姿勢、深い呼吸が「定」に導きます。
心や体が安定すると、智慧の眼が開き真実を聞き取る姿勢ができます。
出遇うあらゆる物事から学ぶことができます。
そしてそのことがさらに深い「定」を生み、頭脳の働きが明晰となり、自分の資質・能力が活性化し、自分の中の素晴らしい力が発揮されます。
以上、まず規範ある生活の基本的習慣を確立して、心身を安定させて、ありのままに見、聞いて、考えるということです。
誘惑のスイッチを切る勇気を出して、生活と身の回りを整えることから始めてほしいものです。
(『今、教育の現場では…』真城義麿 著 難波別院発行より引用しました)

一人暮らしが始まると、身の回りのことを自分でするようになったり、自由な時間が増えたり、友人とのつきあい(誘惑?)が増えたりと、楽しみはもちろん、大変なこともたくさんあると思います。
そんな中で、真城先生が言われるように、まずは生活リズムをしっかりつくって、心身を安定させること・身の回りを整えることを意識し、新生活を充実したものにして、楽しんでほしいと思います。



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Posted by 守綱寺 at 09:59│Comments(0)本堂に座って
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