2023年12月26日
本堂に座って 2023年11月
今月もくればやしひろあきさんの『自走する組織の作り方』から文章を紹介します。
相手に「何かをして欲しい」とき、どのように声をかけると良いでしょう?自分の側か相手の側か、どちらに立って伝えるかによって結果は大きく変わる様です。
「やりたい人」がいなかった場合、リーダーが指示をして業務をさせます。
でもこれ、「指示」という形で有無も言わさずやらせようとすると、どうしても「やらされ感」が生まれます。
「やらねば」という外的動機だけでは、どうしても仕事のクオリティーは下がってしまいます。
僕が心がけていたのは「オファーする」という方法です。
たとえば、「教室の窓を開ける」ということをやってもらうとします。
「窓を開けなさい」と指示を出しても、窓は開くでしょう。
でも、「窓を開けてほしいんだけど、お願いしてもいいかな?」と問いかけるんです。お願いされると、人はそれに応えたくなるものです。
「窓を開けてほしい」というオファーに対して、自分で「イエス」という答えを出しました。
「自分で行動を選択する」という経験を常にさせていくのです。
以前、あるベテランの先生が、「何を言ってるんだ。子どもに対しては命令でいいんだ」と言いました。
どちらが上でどちらが下かを理解させるうえでも、命令をして「はい」と言わせることが大事だ、と言うのです。
「何時代の人ですか?」と思いました。そういう教育が現代社会の「考えない大人たち」を生み出してきたのです。
仕事をさせるときは、オファーを出して、相手に「イエス」と言ってもらいます。
そして、行動してくれたらこちらのオファーに応えてくれたわけですから、「ありがとう」と感謝の意を伝えます。
仕事をしてもらうときは、指示や命令ではなくオファーする。
これは、子どもから大人まで、みんな同じです。
「これ、コピーしてもらいたいんだけど、お願いしてもいいかな?」「この資料、明日までに用意してほしいんだけど、頼めるかな?」オファーですから、断られるかもしれません。
それでいいんです。
相手の目の前に「仕事」を置いてあげて「やる」「やらない」は相手に選択してもらう。
大切なことは、相手の心からの「イエス」を引き出し、内的動機の「やりたい」に変換してもらうことです。
そのためにもリーダーとその人との関係性は極めて重要だと言えます。「この人にお願いされたら仕方ないな」と思ってもらえる関係をつくっておくことです。
「この人のお役に立ちたい」だって、立派な内的動機です。その業務自体を「やりたい」とは思ってないけれど、「この人が喜んでくれるならやりたい」なんてことはよくある話です。
さて、そのような考え方で仕事を眺めていると、「誰でもいいからやっておいて」という業務は一つもないことがわかります。
たとえコピーの一つでも、「この子はコピーしたあと、丁寧にクリアファイルに入れて渡してくれる」とか「仕事が早いから明日までと言ったけれど、朝イチで持ってくるんだろうな」とか、こちらも相手の個性を考慮に入れてオファーすることになります。
逆にオファーしづらい人もいると思います。仕事が雑な人や期限までにできないような人には仕事って振りにくい。
そういうときは、サポート役に回ってもらうと良いでしょう。
さて、オファーするうえで、みんなが嫌がりそうな仕事というのもあります。
そんな難しいオファーならば、その仕事から得られるメリットを伝えてあげるのも良いです。
「この仕事をすると、こんな力がつくよ。こんなご縁があるよ。こんなものが得られるよ。」このように、この仕事を通して何が得られ、仕事が終わったあとどんな未来が待っているのかを伝えます。
また、なぜあなたにオファーしたのか、どんなことを期待してオファーしたのか、も合わせて伝えると効果的です。
大切なことは、相手に「イエス」と言わせることです。無理矢理言わせるのではなく、「イエス」の選択を選ぶ流れをつくることです。
自分で「やる」と決めたから人は動きます。また、たとえやりきれなかったとしても自分で「やる」と言った人の方が指導は入りやすいものです。
頼んだ仕事をやってないのと「やる」と言った仕事をやってないのは大違いだからです。
(『自走する組織の作り方』くればやしひろあき著 青山ライフ出版発行 より引用しました)
Posted by 守綱寺 at 10:17│Comments(0)
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