2020年03月12日

本堂に座って 2020年3月

本堂に座って 2020年3月

3月を迎えて、中学3年生の次男の卒業&公立高校入試がいよいよ近づいてきました。
昨年の夏以降受けてきた校外模試の結果は、徐々にではありますが順調に(?)右肩下がり…それでも志望校は変えずに“ラストスパート”をかけているところです。
そんな様子を見ながらふと思い出したのが、下の質問・回答です。

○ 「他人(ひと)様に見られていなくても、仏さまがみているよ」とおばあちゃん
 に言われるけど、そんなことって本当にあるのですか?

何かいけないことをしたときに、他人には見つからなくても、どこかで見られているような後ろめたさがありませんか。
かつては、「(仏さまが)見てござる」とか「天知る地知る」とか「お天道(てんと)様が見ているよ」とか言われていました。
今、私たちは自分の目で見えるものだけしか信じられないと思っていますが、一方で、何かしらどこかからの願いを視線のように感じることもあります。
私たちには、「見てもらっている」という安心感を求める心があるのです。
現実的に、私たちはいつも、他人からの評価に一喜一憂しながら生きています。
何をしたのか、どのくらいできたかがさまざまに評価され、時にはそれによって悩み苦しんだり、いやになったり、有頂天になったりします。
小学校以来、先生などの大人による評価が自分の価値だと思いながら成長していき、評価する側の物差しに自分を合わせていくことが身に付いてしまいます。
そこで、自分が不当に低く見られているのではないかと疑心暗鬼になったり、よく見てもらおうと無理して振る舞ったり、見られたくないことは隠したりします。
もし、本当に仏さまが見ているとしたら、私たちのことをどのように見ていただいているのでしょうか。
海に氷山が浮かんでいる様子を思い浮かべて見てください。
実は、私たちの目で見えるのは「氷山の一角」です。その氷山のほとんどは水面下にあって見えません。
人間の目で評価される対象は、そのごく一部の海面上の姿です。そのわずかだけをもって他と比べているのです。
見えている部分が、「成果(したこと・できたこと)」「能力」「外見」等です。
実は、圧倒的な大部分は水面下の見えないところで、黙って「見える部分」を支えています。
「尊いいのちの営み」がそこにあります。
「尊い」は「強い」「早い」などと異なり、優劣・高低・主従はありません。
しかも、その氷山全体が浮かんでいられるのは、海が支えているからです。
そのことに気づいてほしい、そこに安心してほしいと、そのすべてを見て応援してくれているのが「仏さまの眼(まなこ)」ではないでしょうか。
見られないように隠していることも、仏さまは見抜かれていて、それも含めて「尊いあなた」と認められ、尊く生きるよう願いがかけられているのです。
人間の眼で見えないところまで、仏さまが願いとともに見てくださっていると安心して、できることを精いっぱいやっていきましょう。
(『仏教なるほど相談室』真城義麿著 東本願寺出版発行より引用しました。)

これまでのテストの結果・模試の成績だけを見てしまうと「下がっているけど大丈夫?」という評価になってしまいますが、ラストスパートをかけ始めた時期を考えれば、その努力が実を結ぶのはもうちょっと先なんだろうな…と思います。
何より「目標に向かって努力した」ことが、これからの人生の糧になるのでしょう(まだまだ息抜きもしっかりしていますが…)。
高校入学は人生の中では一つの通過点です。
どんな結果が出たとしても、その時に行くことが決まった進路が、仏さまが「そこに行って精いっぱいがんばりなさい」と願ってくださった場所なんだと受けとめて、次の一歩を踏み出していって欲しいな、と受験が終わったら伝えたいと思います。



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Posted by 守綱寺 at 20:00│Comments(0)本堂に座って
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