2021年04月01日
本堂に座って 2021年4月
真宗大谷派(京都・東本願寺)から毎月発行される機関誌『真宗』には子どもたちとの接し方について書いてくださっているページがあります。
その中から、よく見かける子どもの遊び方についてのQ&Aを紹介します。
Q)5歳になる息子のことで相談があります。ミニカーが好きで、おもちゃ屋さんに行くたびに買い、今ではたくさんのミニカーがあります。
家でミニカーの箱をひっくり返し、ミニカーを走らせて遊んでいます。
走らせて壁にぶつけるのをくり返しています。
延々と同じことをくり返すので、次の遊びに広がりません。
一人っ子ということもあり、家での遊び相手がいないのですが、このままでいいのでしょうか。
ママ友からこの時期は様々な遊びをした方がいいんじゃないか、と言われたので相談しました。
A)お子さんはお家でミニカーと遊んでいらっしゃるのですね。
同じくり返しで遊びが展開しないので、このままでよいのかということと、ママ友から様々な経験をさせたほうがいいんじゃないか、
と助言されたのですね。
ボクは現場で出会った子どもから教えられたことがあります。
そのことからお話しします。
ある電車好きの男児で、積み木を電車に見立てて電車遊びが続いていました。
広がり展開がないので、介入して他の遊びに誘ってみました。
その男児は、なじんだ電車遊びができないので、しばらくは遊ぼうとしない時期がありました。
その後電車遊びを再開して、その男児は毎回電車の走り方を変えたり、目的地を変えたりして遊んでいたことがわかりました。
おとなからはくり返しにしか見えない遊びですが、実は、様々な遊び方を工夫して遊んでいることがわかりました。
おとなの見方や考え方は、子どもの「育ち」に対して一般的に一括りに考えますが、子どもはくり返しの中で、
微妙な違いを感じているようです。
微妙な違いを感じているようです。
ミニカー遊びの中で、力の具合で走り方が違うこと、壁にぶつけた時の衝撃の具合やその音が違うことを体感しているようです。
このように子どものくり返し遊びは、「今」必要なのだと思います。
それがおとなにとっては単調に見えますが、その子にとって今その遊びが大事なのだと思います。
十分に時間をかけて体験と体感を積めば「お別れ」する時が必ず来ます。
しかし、おとなが次の展開を急げば、かえって長引かせることになるでしょう。
提案があります。
時間があれば、お子さんとミニカーを同じように併行して走らせてみてください。
そして、壁にぶつけてみてください。
お子さんが何を体感しているかわかるかもしれません。
私たちおとなのとらわれている考えを、子どもが解いてくれるかもしれませんね。
(佐賀枝 夏文)
(『真宗 2021年2月号』東本願寺出版発行より引用しました)
おとなから見ていると、子どもたちがしていることはわからないことばかりです。
このQ&Aにあるように、子どもたちは同じ遊び・行動をくり返したり、同じ絵本を2度3度くり返し読んで欲しいとせがんだり…。
この質問者の様に「遊びの広がり」なんて考えたことはなかったですが、こちらが飽きてしまって違う遊び・絵本に変えたくなってしまう・実際に変えてしまうことが何度もありました。
あらためて佐賀枝さんの文章を読んでいく中で、子どもたちの感性に寄り添えていなかったこと、一緒に遊んでいる様で、ただの“お付き合い”になっていたこと、おとなの都合を押しつけてしまっていたこと…に、今更ながら気づかされました。
Posted by 守綱寺 at 11:07│Comments(0)
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