2021年07月05日

本堂に座って 2021年7月

本堂に座って 2021年7月

コロナウイルス感染症が騒がれるようになって1年半ほどになります。
この間、マスクをしての外出、多人数での会食の自粛、イベントなどの延期や中止、在宅勤務の推進などなど、さまざまな行動に影響があったように思います。
法事や葬儀についても、(法事を中止・延期される方もありましたが)重要なお仏事(儀式)として執り行っていただけていますが、家族葬や身近なご親族のみの参加など、お参りに足を運んでいただく方が少なくなっているのを感じます。
家族葬は、ここ数年少しずつ増えてきていましたが、この1年半ほぼすべての葬儀が家族葬になっています。
家族葬についての真城義麿先生のQ&Aを紹介します。

Q>親戚の方が亡くなりました。お葬式は、家族などの近親者だけで行う「家族葬」にするそうです。
お葬式にもいろんな種類があるのですか?

A>古来から集団で生活している者は、人が亡くなると必ず「弔い(とむらい)」をしてきました。
それは、残された者がともに生きていくために必要なことで、必ずしも個人だけのプライベートなことではありませんでした。
私たちは、人生のそれぞれの段階で、出会いと別れを繰り返します。
家族を中心とした関係の中に生まれ、成長過程や地域や職場等々で、深浅はあっても必ず「つながり」のなかに生きています。
相互に強い関係をもって生きてきたなかで誰かを喪う(うしなう)ことは、残された者にとって大きな喪失感となります。
その死を受容し再スタートを切るためには、亡き人の人生を尊い事実として共有し、感謝の気持ちを心に刻みつけることが必要なのです。
現代は時代の流れとともに、葬儀(葬式)の在り方も、家族などの近親者だけで行う「家族葬」をはじめ、さまざまなスタイルが生まれています。
亡くなられた年齢や交友関係の広さ、親密さによって、直接にお別れを望まれる方の数や範囲が自ずと出てきますから、家族だけでという選択肢もあるのかもしれません。
しかし、葬儀の場で、会葬者や弔問者から、自分の知らなかったエピソードや、イメージと異なる面を知らされて、亡き人と出会い直しをすることもあります。
また多くの人がお別れに来てくれたという事実が、慰めや励ましを与えてくれることもあるでしょう。
さらに七日毎(ごと)に集まって亡き人を偲ぶなかで、集まった人の話題は、昔話から今の話へ、そしてこれからへと移っていき、徐々に大切な方の死を受けとめることができるのではないでしょうか。
人生には、生まれる前も亡くなった後もあります。
私が生まれる以前の長いいのちの歴史という事実があり、また亡き後も多くの人の心のなかで生き続けていくのです。
もしあなたが、遠くへ行ってしまい帰って来られないとしたら、誰とお別れの言葉を交わしたいでしょうか。
死にゆく者は残される者に、盛大な葬儀は希望できません。
大切なことは、亡き人の意志を尊重しながらも、残された者がその人の人生をよく考えて葬儀をなさるのがよいと思います。
かかる経費の多寡(たか)だけで考えると後で後悔することにもなりかねません。
もちろん、死に伴って多くの事があり、さらに儀式や接待などに忙殺され、死を静かにかみしめるような状況にならないかもしれません。
お寺さんとも、葬儀だけのつきあいでなく、日ごろからお話を聞いたり、疑問をぶつけたり、「いのち」を一緒に考える関係を築いておくことが大切だと思います。
(『仏教なるほど相談室』真城義麿 著 東本願寺出版発行より引用しました)

お参り先で「コロナ後も戻らないことは? 在宅勤務と家族葬かな…」という話がありました。
その一方、「大勢の方に送っていただけて良かった」「○○さんの葬儀なら地域じゅうの方が集まったのに…残念。」という声も聞かれます。
あらためて今回の状況を、葬儀の意義を見つめ直す機会としていきたいと思います。


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Posted by 守綱寺 at 13:58│Comments(0)本堂に座って
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