2022年06月27日

本堂に座って 2022年6月

本堂に座って 2022年6月

ロシアがウクライナに侵攻を始めて、3ヶ月が過ぎました。どんな理由であれ、他国へ武力侵攻することは許されません。
ウクライナの方々だけではなくロシアの方々も大勢亡くなられているのも事実です。
一刻も早く、争いを止めてほしいと願うばかりです。
そんな中、「敵と争う」ことについて中川皓三郎先生が話された文章を思い出しました。


私自身、今まで条件闘争ばかりしていたなぁということを思います。
「俺の条件は悪い」と言ってばかりいたように思います。
他の人との比較の中で、俺の条件は悪いと言う。
そして、条件を整え環境を整備して、自分が自分として生きることを始めようとする。
しかし、どこまでも、自分の都合です。
だから、人との関係においても、都合と都合ですから、最後は、お互い自分の都合をいちばんにするということです。
最後は、みな自分を守りますから、どこまでいっても一つにならないのです。
これは、廣瀬杲先生の『根源的能動-本願-』(文栄堂書店)という本の中に出ているのですが、「念仏で戦車を止めることができるか」という問いに答えて、「念仏で戦車を止めることができる!」と言えるはずなのです」と言っておられます。
私たちが、わが身をよしと思って、わが身をたのみ、そこから自分と他人というものを二つに分ける。
そういう自分と他人との分離を前提にして生きるかぎり、どれだけ親しい人も、自分の外にあるわけですから、最後は、自分のなそうとすることを妨げるものとしてしか、見えてこないのです。
だから、自分の思いを中心にして生きるかぎりは、私の思いとあなたの思いは、一つにはならないのです。
みんなにそれぞれの思いがあるのだから、それぞれが自分の思いを実現しようとすれば、最後は、すべて敵だということにならざるを得ない。
利用するか、敵になるかどちらかです。
だから、自分と他人を二つに分けて、そこで自分の思いを実現しようとすれば、必ず、力が必要とされるのです。
力があるということは、自分の思いに他人を従わせることができるということでしょう。
力がなければ、他の人に従わなければならない。
だから、力だというわけです。その力を象徴しているのが戦車ということなのです。
ところが、ここのところが本当に大切なのですが、どれほど私たちが、強大な力を持っても、自分の外に他人があるということを前提にしているかぎり、敵はなくならない。
私たちが、自分と他人を二つに分けて、そこで自分と言っているかぎり、自分の外には、必ず他の人がいるのですから、そういう自分というものがなくならないかぎり、敵はなくならないのです。
敵をつくっているのは、この私なのですから。
だから、私たちはあらゆるものを、自分中心に二つに分ける、自力の心がひるがえされ、すてられるということがないかぎり、劣等感と孤独から解放されるということはないわけです。
どうしても、人の目におびえ、死の不安の中で、暗くちっぽけな生を生きざるを得ないということになります。

信國淳先生が、「善悪を選ばぬ心の中では、善悪の矛盾的対立もその依り処を失って、自然と対立を解消せざるをえないはずだからである。
どんな悪いことでも平気で無関心に受け摂めていく心であるなら、その心をどんな悪も傷つけることができず、かえって刃を捨ててそこに帰入するほかないはずだからである」と言われることは、廣瀬先生が、「念仏で戦車を止めることができる」と言っておられることの具体的内容です。
(『ただ念仏せよ』中川皓三郎 著 東本願寺出版発行より引用しました)


お念仏の教えを通して「敵をつくっているのはこの私」であること、自分と他人・善と悪を分けてしまう私を知ることで、争いは収まる(戦車が止まる)のでしょう。

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Posted by 守綱寺 at 11:22│Comments(0)本堂に座って
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