2024年01月09日
本堂に座って 2024年1月
今月も引き続き、くればやしひろあきさんの『自走する組織の作り方』から文章を紹介します。
子どもが勉強しているときなど、その様子を見ていてひと言ふた言、声をかけたくなることがあります…が、その前に気をつけるべきことがある様です。
求めていないのにアドバイスをしてくる人っていませんか?実は、相手が求めていないのにアドバイスをすると、相手を傷つけてしまうことがあるのです。
たとえばあなたがハンバーグを作るとします。
家族に美味しいハンバーグを食べさせたいと、挽き肉をしっかりこねて、丁寧に丁寧に作りました。
夕食のテーブルを囲んだ家族の目の前には、ソースのたっぷりかかったハンバーグ。
ナイフを入れると、ジュワッと肉汁が溢れ出し、立ちのぼる湯気まで美味しそう。
一口食べて旦那さんが言いました。
「美味しいなぁ。けど、ソースがなぁ……。もう少し濃かったら、もっとよかったなぁ」
今度は娘が一口食べて、また口を開きます。
「ママ、すごく美味しい。お皿が冷たいのが残念かな。これだとすぐに冷めちゃうから、次からはお皿を温めておくといいよ」
最後に息子が一口食べて、
「うん、本当に美味しいね。あとは見映えだね。彩りがイマイチだから、ミニトマトぐらい乗せてもよかったかもね」とダメ押しをします。
きっとあなたは思うはずです。(二度と作ってなんか、やるものか!)
求めていないアドバイスに人は傷つく。だから、アドバイスは求められたときに、求められた分だけ届けるといい。
「このハンバーグさ、美味しくするためにどうしたらいいと思う?」と問われてはじめて、アドバイスは相手に受け取ってもらえるのです。
教室の後ろに大きな掲示板があります。
そこに画鋲を使って子どもたちが描いた絵などの掲示物を貼っていくわけですが、いつも率先して手伝ってくれる男の子がいました。
ところが、なぜか掲示物を左から右に貼っていくに従って、だんだん上がっていってしまう。それで教室中の掲示物が右肩上がりです。
善意で「掲示物を貼る」ということをしてくれているのに、僕がそのことを指導すれば良い気持ちはしないでしょう。
せっかくお手伝いしたのに、指導されるのは面白いことではありません。
こんなときは、「行動したこと」と「行動の質」を分けて考えることが大切です。行動したことは褒めて感謝を伝えます。
行動の質については、そのときには指導せず、別の機会に取り組みます。
ある日の放課後、彼と一緒に掲示物を貼ることにしました。
彼は左から、僕は右から。スタートの高さを揃えて貼り始めたのですが、案の定、中央でぶつかったときには、僕のそれよりもずいぶん高い位置になっていました。
「あれ、おかしいなぁ」とつぶやき、右肩上がりになっていることに彼自身が気づきました。
「先生、なんで僕が貼ったのは上がっていって、先生の貼ったのはまっすぐなの?」と言いました。
それで僕は、「掲示板に点々が打ってあるの、わかる? これに合わせて貼っていくとまっすぐ貼れるよ」と伝えると、「あぁ……そうか……」とポツリつぶやいて彼は掲示板を貼り直していきました。
それ以来、彼は「掲示の名人」となったのです。
ついつい一言言いたくなるのがリーダーです。そこはグッと我慢が必要です。
でも、どうしても我慢できないときは、一言これだけ伝えてください。
「アドバイスしたいことがあるんだけど、伝えてもいい?」
(『自走する組織の作り方』くればやしひろあき著 青山ライフ出版発行 より引用しました)
Posted by 守綱寺 at 17:23│Comments(0)
│本堂に座って